サントラージュは、アパレルOEMビジネスを主軸とした会社ですが、2020年〜自社ブランドの運営を開始いたしました。2023年にはブランド事業部を新設し、各ブランドのさらなる成長に向けて取り組んでいます。
50名の中小OEMがなぜブランドビジネスに取り組むのか。
今回は、小林社長に自社ブランド運営を始めたきっかけやOEMとの大きな違い、その困難などをお話していただきました。
現在、ブランド事業部では3つのブランドの運営をおこなっています。
ANNA SUI NYC
ニューヨークを代表するコレクションブランド「ANNA SUI」のデュフュージョンライン。ニューヨークの自由で多様なカルチャーを背景に、デイリーかつカジュアルに楽しめる新しいブランドとして、2023年8月にスタート。
Lazo_N33°
エイジレスにファッションを楽しむ女子に向けて、2022年7月にスタート。マニッシュテイストでラフに決まる、大人カジュアルなアイテムを提案。
Numero6
コロナ禍をきっかけに変化したライフスタイルに寄り添い、30代からの“至極のTシャツ”ブランドとして2021年4月にスタート。
もともと当社は、20年以上にわたりOEM事業を中心に、お客様の商品づくりをサポートする「裏方」の立場に徹してきました。BtoCのブランド運営に関しては、未知の領域ということもあり、正直なところ当初は躊躇もありました。
そんな中、社員の発案で「自社で白Tシャツを作り販売しよう」というプロジェクトが立ち上がりました。これが、当社がブランド運営に乗り出すきっかけとなったのです。
▼立ち上げのエピソードはこちら
https://centrage.co.jp/2021/11/09/interview-numero6/
実際にやってみると、私たちが普段OEMで関わっているお客様の“さらに先にいる消費者”の志向やニーズを、よりリアルに捉えることができるようになりました。市場に直接向き合うことで、これまで見えなかった消費者目線での気づきが得られ、マーケティングの観点も自然と養われていったのです。
こうした経験を通じて、「OEM事業にとっても、自社ブランド運営は大きな武器になる」と確信を持つようになりました。今では、ブランド運営を通して得たマーケティング視点をOEMにも還元し、より付加価値の高い提案ができる体制づくりを進めています。
当社はこれまで、アパレルブランドからの依頼を受けて服づくりを行うOEM(受託製造)事業を中心に、BtoB(法人間取引)を展開してきました。
それに対して、自社ブランドによる製品販売はBtoC(個人向け取引)にあたります。
このように、OEM事業と自社ブランド事業ではビジネスモデルが大きく異なるため、両者は別の事業部として運営しています。
もともと自社ブランドは小規模で、関わるスタッフも限られていましたが、現在は会社の“第3の柱”として本格的に成長を目指す段階に入っています。
そのため、体制を強化し、独立した事業部として新たにスタートさせました。
一番大変だと感じたのは「商品の見せ方」、特に撮影の難しさです。
オンラインストアでは、お客様が商品を直接手に取ることなく、写真やSNS上のイメージに大きく影響を受けて購入を判断するケースが多々あります。当社のブランドは、売上の8割以上がオンラインストア経由であり、また店頭で購入に至る場合でも、事前にInstagramで商品をチェックしてから来店される方が多くいらっしゃいます。
そのため、商品の良さを最大限に引き出し、世界観を表現できる写真を撮ることが非常に重要であり、同時に想像以上に大変な作業でもあります。
BtoBではそこまで重視していなかったマーケティング力が、BtoCでは売上に直結します。両者を経験したことで、ものづくりのクオリティだけでなく「どう伝えるか」までを含めた総合的なブランド力の重要性を実感しました。
OEMで経験してこなかった特有の課題が多くありますね。
どこかのブランドでうまくいったアプローチがあれば、そのノウハウを他のブランドに共有しています。以前は、各ブランドでバラバラに取り組んでいましたが、3ブランドの状況や施策を確認・検討する会議体をつくり推進しています。これからブランドとして成功事例が出てくれば、それを社内に知見として蓄積して応用することで会社全体をさらに成長させたいと考えています。
全ブランド黒字を定着させ、安定して利益を出せるようにすることです。OEMの場合、バイヤーの方が一つの商品を多く注文してくださることもありますが、小売りの場合は、1つの商品の売上を伸ばすには、基本的に顧客数を増やすしかありません。多くの人に知ってもらうにはPRが欠かせませんが、それには広告費がかかります。また、売れるかわからない商品をたくさん仕入れることも金銭的リスクが伴います。安定した利益を出すことは、決して容易ではないですね。
また、マーケットの中でブランドの認知が広がり、新しい商材をどんどん生み出していければいいなと考えています。
日本のブランドに足りないものを感じる機会はそんなにないです。強いて言うなら、「継続性」でしょうか。根本的に日本人は保守的な傾向が強いので、個性的なブランドが成功する例は稀だと思います。韓国の一部のブランドやその他海外のインディーズブランドが、その特異性によって局地的ブームを生むことはあると思います。最近の若者向けブランドは、特にそういった傾向が強いですね。しかし、継続性はそれほどないので、ビジネスとして持続出来るかどうかは懐疑的です。
時代のニーズを正確に捉えたうえで、そこに応える形でブランドを立ち上げる必要があると考えています。単に自分たちの「作りたい服」を新たなブランドで発信するのではなく、重要なのは、マーケットの中に確かなチャンスが存在しているかどうかだと考えています。
例えば、ANNA SUI NYCは世界的知名度を誇るANNA SUIのディフュージョンラインとしてブランドを展開しています。認知度の無いブランドを0からスタートさせるよりも、優位に認知を拡大できますし、信頼を獲得しやすいであろうと考えました。また、世界展開も期待できるため、短時間で事業をグロースさせられる可能性が高いであろうという結論に至りました。
また、Lazo_N33°というブランドは、4〜50代の女性をターゲットにしたブランドですが、日本人女性の平均年齢が50歳を超えるなか、ミセスブランドに求められる要素もより多様性が求められています。これからの40代、50代の女性は以前とは違う価値観や多様性を持っており、世代的にも子育てが一段落し、自分自身にかける時間やお金が増えてきます。このゾーンに対しては、これから参入してもまだファンが獲得出来る可能性があると考えました。
このように、ブランド事業を継続させるためには、ターゲット層の価値観やニーズを的確に捉えることで、長期的なブランド価値を築いていくことが重要だと考えています。
サントラージュは、社員一人ひとりのアイデアを大切にし、いろいろな手法を試しながら、自分たちならではのやり方をつくっていく会社です。うまくいった方法や気づきはチームで共有し、他のブランドにも展開していく。こうした取り組みを繰り返すことで、新しい事業の柱へと育てていきます。
株式会社サントラージュでは、一緒に働く仲間を募集しています。
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